
48都道府県それぞれの個性や「らしさ」をデザインの観点から選び、1冊のガイドブックにしている”D&DEPARTMENT”から最新号として静岡号が出版される。
その出版を記念したイベントが、渋谷のヒカリエで開催されるとの事なので参加してきた。
”出席”とか”見てきた”と言うよりは”参加”という言い方の方がぴったりな内容だった。
--目次--
「d design travel」はデザイン目線で、特にその土地の個性を感じさせる人や店を紹介しているが、その取材方法が尋常では無い。
まず取材する県の選定後、その土地でワークショップを開催、そこでの情報集した後に現地で2か月ほど泊まり込みで200ヵ所くらい取材するそうだ。

(200ヵ所訪れた末の集大成が紙面に掲載される…っ!)
現地に泊まり込むと言っても野宿する訳じゃなくて、ちゃんとホテルに宿泊する。
実際に現地に足を運んで、その土地に滞在して、その土地の物を食べて記事を書く。
そうやって取材している話を聞くと”職業・旅人”みたいでカッコいい。
(多分、そんな楽なもんじゃ絶対に無い)
d design travelの考え方に共感する企業の広告の話もトークショーで話に挙がっていた。
本誌に掲載されているけど、それらも”1点モノ”的に全て今回の為にデザインされている。
地元の美人さんを使って広告を作ったり、本誌のデザインと連動させた広告を入れたり随所に見られる遊び心が楽しい。
紙面で取り上げられている場所1つ1つに編集部の思い入れがあり、それがスライドと共に語られていく。
編集長が何度か「取材のし過ぎで太った」と言われていたのが印象的だった。
やっぱり旅と言えば食べ物が大きな楽しみなのは頷ける。
トークショー終了後は、少し時間が空いたので同じフロアで開催している”SIZUOKA EXHIBITION”を見る事が出来た。
今回の静岡号作成にあたり、お世話になった場所や人からお借りした物が展示されているのだ。
トークショーを聞いた後か、静岡号を読んでから行くと「あーこれが、あの時の……」とより一層感慨深く楽しめると思う。
展示物は全て車1台で運んできたそうだが、本当に1台に入ったのか疑問になるくらいの物量である。
のれんや車のバンパーや酒樽など結構な大きさの物があるのだが……。
ちなみにのれんは本当に現物をお借りしているそうなので、展示期間中はお店ののれんは無しになるとの事。
(ほんとに大丈夫か?)
静岡を食べる会
d design travel showの後半、と言うよりある意味メインイベント。
静岡の土地を文字通り五感で感じられるのが”静岡を食べる会”だ。
今回の食べる会や並行して開催されている食堂で提供される”静岡定食”の為に、調理師の方が実際に静岡に滞在し、修行をして来た料理を食べられるのである。
干物・さくらエビ丼・サラダ・黒はんぺん、いずれも静岡になじみ深い料理が並んでいる。
食べ物意外にも静岡に拠点を構える”トリイソース”
や同じく静岡発の
クラフトビール”ベアードブルーイング”
も提供される。
個人的には食べ物もさる事ながら、地物のワイン・日本酒・ビールが飲めるのが嬉しい。
地物の酒って飲み放題で飲める機会はあまり無いので、色々な種類を飲めるのは心強い。
全部余すところ無く飲みたかったけど、そういう訳にも行かないので一押しのベアードブルーイングのビールを中心に飲む。
クラフトビールはどれも個性的な味だけど、
ベアードブルーイングのビールは本当にこれが同じメーカーか? と疑いたくなるほど味の違いがある。
ちなみにどれも抜群に旨い。
会場にはまさかのベアード夫妻も来場され、ビールを片手に熱いスピーチをされていた。
特にベアード氏の口から「
クラフトマンシップ」
という言葉が出ていたので、
改めてWebサイトや瓶のラベルに書かれていた事を思い出す。
流石にビール全種類制覇は出来なかったけど、都内にも飲めるお店があるのでまだまだ制覇する事は可能だ。
会の終盤に、実際に記事を書かれた方と少しお話する機会があったが「仕事で取材に行ってきました」って言う感じは一切無く、個人で旅行に行った様な感じで静岡の事を話されていた。
d design travel編集部の考え方として取材を申し込む前に自費で行く、と言う方針がある。
仕事と言うフィルターを通さずに”一個人の視点”でフラットにその土地を見るからこそ、色々なモノに出会えるんだと思う。
編集の考え方。
- 必ず自費でまず利用すること。実際に泊まり、食事し、買って確かめること
- 感動しないものは取り上げないこと。本音で、自分の言葉で書くこと。
- 問題があっても、素晴らしければ、問題を指摘しながら薦めること。
- 取材相手の現行チェックは、事実関係だけにとどめること。
- ロングライフデザインの視点で、長く続くものだけを取り上げること。
- 写真撮影は特殊レンズを使って誇張しない。ありのままを撮ること。
- 取り上げた場所や人とは、発刊後も継続的に交流を持つこと。
※紙面の編集部の考え方より
少し前の岐阜号では「よくぞそんな所を!」と言う様な場所を取り上げていた。
県外の人はもちろん、県内の人も知らないような場所を紹介していて、驚いた。
それも”一個人の視点”で”その土地”らしいモノを”デザイン目線のこだわり”を持って選んでいるからだろう。
そして、一般的なガイドブックが場所の”紹介”と言う体裁を取っているのに対してd design travelは場所を訪れた”感想”がメインの記事となっている。
紙面で綴られる”感想”はあくまで読者目線であり、本を読みながら実際にその場所に行った様な感覚になる。
d design travelは年に3冊ペースで刊行されていく予定なので、これからも47
都道府県の知られざる側面を知らせてくれる。
ガイドブックって、旅行に行く予定の場所の本を買うイメージがあるけど、d design travelはあえて地元の本を買ったり、一切まったく興味が無かった県のを買うのもオッケーだ。
ガイドブックで紹介された場所に惹かれて旅行に行く、そんなきっかけをd design travelは与えてくれる様な気がする。
D&DEPARTMENT PROJECT D&DEARTMENT PROJECT 2017-07-07
※一般発売は7月7日からになります
それでは、また。
---
他にも地方の記事、あります