少し前に雑談で将棋の話になって10年ぶり位に盛り上がった話。
元の話が元の話なので完全に雑談ですよ。
進め!歩!!
仕事でも学校の時に感じたスクールカースト的な物があって、あの人はあの人に弱いよなぁと思う時があります。
将棋に例えるなら、社長が王、役員が金銀、エース級の営業が飛車角、一山いくらで雑事をこなす営業とか庶務とかは歩。
デザイナーとかはちょっとひねった仕事とするから桂馬か。
後退は許されず、ひたすら前に進む所がそこはかとなくサラリーマンの哀愁を誘う。
目指すは敵陣と売上目標必達のみ。 進め、企業戦士!
敵陣突入後は「と金」となり、ななめ後ろ以外の全方位に動く事が可能だ。
一連の流れで行動範囲が広がる事が、仕事で分野が広がる事の暗喩に思えるのは考えすぎか。
と金と言えば、将棋では敵陣に自軍の駒と突入させると、表裏をひっくり返してパワーアップする事が出来る。
歩が成るのもうれしいけどやっぱり「飛車」や「角」が成るとテンションの上がり方が違う。
ドラゴンクエスト
特に飛車が凄い。成ると龍に化ける。(成るんだけど)
将棋盤の中を十字に自由に動ける特性に加えて、弱点であった斜め方向への移動にも対応し敵が成ると手が付けられなくなる。
普通の駒より一回りデカい駒に加え、その表面に刻まれた文字は「龍」
その存在感は、もはや別格である。
下手に敵に成られると場合によっては専用の部隊を組織しての討伐が必要になる。
歩で動きを制限し、桂馬や角を駆使して討伐するのはもはやドラゴンクエストの様相を呈してくる。
小学生の時に、祖父と対局した時は「飛車をとにかく龍にする為だけに全勢力を投入する作戦」を実行しまっくていた。
勝敗に結びつくかはともかく、ある特定分野に勢力を異常に集中させるのは第二次世界大戦末期のナチス・ドイツを彷彿とさせる。
(毎回負けたけど)
とにもかくにも、子供心に「龍があれば我が軍は10年は戦える」と妙な万能感を与える駒、それが「龍」なのである。
角も負けてはいない。
X字に将棋盤を動けるけど斜め移動とか守りづらいったらない。
六角形のHEXならまだ大丈夫だけど将棋のマス目は四角。
HEX
将棋盤
下手に駒を動かしてると、隙間から一気に自陣に攻め込まれて「馬」に成る。
馬になるとX字の移動に加え1マスだけだが十字方向への移動が可能になるのだ。
これで最低限の自衛ができるし、真横への攻撃ができるので自陣に敵の馬が居ると危なっかしくて仕方がない。
当時読んでいた将棋入門では角が成った姿は「ケンタウロス」として描かれていて、その半人半馬の角が、戦場を縦横無尽に駆け巡る姿を夢想していた。
香車は飛車の夢を見るか?
この雑談でもっとも盛り上がったのは果たして香車は必要なのか? と言う事だ。
いや、もちろん必要なのは解かるが。
どことなくパッとしない上に飛車の量産型と言うか下位互換機と言うか……。
香車の初期配置は自分の右翼、左翼の最下段に各1枚づつ。
前方へ無制限に移動できる香車だがここで問題が発生する。
1マス先には自軍の歩が居るのだ。
彼には桂馬の様に自軍の駒を飛び越える事ができない。
また、左右への移動も許されていない。
彼の自慢の快速を生かすのは目の前の歩が居なくなった時しかないのだ。
しかし悲しいかな、歩は1回に1マスしか進めない。
試合展開次第では活躍できるのがずーっと後半になってしまう。
試しにgoogleで香車について検索してみると「香車 使えない」「香車 使わない」とか予測される始末。
検索したらしたで、yahoo知恵袋で「香車って将棋の中で一番使えないなぁと思う」と散々である。
香車について質問です。香車って、将棋の中で1番使えないなぁと思うんです... - Yahoo!知恵袋
先の知恵袋に実際にいくつか回答があった。
1. 香車の前の歩を前進させてその後ろから着いていく作戦。
2. 飛車と角が一直線に並んだ時に角の頭を抑える位置に打つ作戦。
なにやら1は味方を盾にして進軍したり、2は持ち駒になっている事が前提なので一度やられてから再出撃の時じゃないと使えないなどイマイチぱっとしない。
雑談していて香車が不憫でならない。
なぜ一直線にどこまでも動ける駒が盤の一番隅っこなんだろう。
初期配置が中央付近であれば、主戦場を左翼・右翼に分断する作戦も可能なのに……。
いや、もしかしたら本当に一番不憫なのは香車の前の歩なのかもしれない。
将棋の対戦毎に「お前がトロいから俺が進めねーだろ! いつもいつも邪魔しやがって! さっさと退けよ!!」と、さながらジャイアンに野球を強制されるのび太の様に怒鳴られているのかもしれない。
さっさと退けよと言われも自分は歩。
退く為には遥か4マス先の敵の駒を倒し敵陣に突入して「と金」になるか、敵に取られるかの二者択一を迫られる。
香車からの無茶な要求を突きつけられても、まっすぐ進むしかない歩には涙を禁じ得ない。
最速で進んで相手の歩を取ったとしても、そこは香車・桂馬が二重に防衛網を張り巡らしている要塞。
成ったところで相手の番で取られる可能性が高い。
そう考えると先の二者択一が、上司の無茶な要求をこなしてから倒れるか道半ばで倒れるかの究極の選択に思え、やっぱり歩にサラリーマンの悲哀を感じずにはいられないのである。
それでは、また。
※以前こち亀で登場した「4人将棋(こち亀オリジナル配置)」なら香車の並びに相手の重要な駒が全て配置されているので圧倒的な強さを発揮できる。
凄いぞ香車!