有給日和 \有給日和は旅日和/

平日を休日に変える、有給休暇を使って旅行を楽しむブログです

地方と都会で賃金格差が出る理由をわかりやすく解説【地方と都会 どっちがお得?】

地方か? 都会か?

どちらで生活するのがより『お得』なのか、は気になるところ。

 

豊かな自然があり、のんびり暮らせる地方と刺激や人との出会いが多い都会。

どちらがより優れているのか、一言では言い表せませんがこの記事では生活していく上でかならず必要な『給料・賃金』に注目します。

 

人は生活する以上、なにかしらかの労働をしなければなりません。

労働の目的の1つは生活する為のお金になる訳ですが、関東近郊の最低賃金と例えば秋田県の最低賃金。

なぜこんなに差がでるのでしょうか?

  • なぜ、都会は給料が高いのか?
  • なにが原因で給料に差がでていくのか?

この記事では、この2つの疑問を解決していきます。

 

最後まで読んで頂ければ、都会の給料が上がる一方である理由がわかりますよ。

【2016.06.27 記事の体裁を修正】

【2019.07.03 記事の全体を修正】

地方と都会の格差を解説するイメージ写真

地方と都会の格差を解説

秋田県と岐阜県の最低賃金

守形レイジ(id:sugatareiji)さんのブログで、地方での低賃金労働に注目している記事がありました。 

見ての通り、秋田県は700円割ってますからね。。。

まあ、時給695円という半端な額では雇わないので、700円というのが現実でしょう。

東京は時給が1000円を超えるアルバイトなんかもありますからね。

僕は秋田の今の会社に入社する前、2ヶ月ほどフルタイムのアルバイトをしましたが、給料はひと月10万円でしたね、、、。

低すぎて悶絶しました。

イケダハヤトの田舎や地方は生活コストが低いという嘘。年収低いし二重苦だよ? - 涙拭けよ

時給700円。

1日8時間、週5で働いても28,000円、月に換算すると112,000円です。

 

学生が小遣い稼ぎでアルバイトをするなら十分な額かもしれませんが、自立して生活していくとなると微妙なところ。 

地方と都会の格差を解説するイメージ写真

最低賃金といえど、やや心もとない

同じような地方で、岐阜県の最低賃金を調べてみたらこちらは754円。

秋田県と同様の計算で月給を算出すると約121,000円。

 

秋田県より9,000円ほど高級な暮らしができそうです。

(五十歩百歩ですね……)

 東京都の最低賃金

そして東京都の最低賃金は907円。

同様に計算すると約145,000円と秋田県と1.3倍の差になります。

仮にコンビニなどでアルバイトをしていても、業務内容は基本的に東京でも秋田でも同じはずなので、レイジさんでなくても悶絶したくなる気持ちになります。

 

レイジさんが紹介しているように、田舎でも都会でも物の値段は同じです。

産地が近い、という意味では少しだけ生鮮食品が安いかもしれませんが、それにしたところで500円が100円になるわけではありません。 

CDアルバムは東京も田舎も3000円。

マンガも一冊400円。

Blu-rayも一巻7000円。

洋服だってUNIQLOで買えば同じ値段。

田舎割引なんてないですからね。

iPhoneだって同じ値段だよ。

イケダハヤトの田舎や地方は生活コストが低いという嘘。年収低いし二重苦だよ? - 涙拭けよ

仮に秋田県、というより日本全国が東京都なみの最低賃金であれば悶絶することも少ないのではないでしょうか。

同一労働・同一賃金の視点からも各都道府県ごとに最低賃金が違うのは違和感があります。

 

同一労働・同一賃金については、正社員・非正規社員の格差がポイントになっていますが、厚生労働省のWEBサイトに詳しく紹介されています。

なぜ都会の賃金は高いのか?

言い換えるなら、なぜ田舎の賃金は安いのでしょうか?

その答えは「集積の経済」で説明することができます。

集積の経済が賃金を高くする

大都市ほど賃金が高い一般的な解釈は、集積の経済による正の外部性と関連する。Marshall (1890)が指摘したように、集積地における投入産出連関効果の高さ、労働者と企業のよりよいマッチング、観測できないような活発な知識波及などから生じる正の外部性が企業の生産性向上をもたらし、その結果、賃金の上昇がもたらされていると考えられている

RIETI - 第2回「なぜ大都市では賃金が高いのか」

様々な企業が一つの地域に集中して立地する → 労働者間や企業間での交流が活発になる → 企業(労働者)の生産性が向上し賃金が上昇。

 

集積の経済による「風が吹けば桶屋が儲かる」的な流れで、都市部の賃金は田舎より上がっていくことになります。 

地方と都会の格差を解説するイメージ写真

都会は賃金が高い

更にもう少し詳しく集積の経済を読み解くと、賃金の上昇には2つの要因が挙げられます。

  1. 都市部の環境による賃金の上昇
  2. 労働者が鍛えられることによる賃金の上昇

この2つを順に解説します。

1.都市部の空間、環境

1つ目は、労働者の空間的ソーティング(spatial sorting)に起因する。つまり、もともと能力のある労働者ほど大都市に集まりやすいことから、都市部において賃金が高く観測されているという考えである。たとえば、大卒という肩書きだけでは実際には観測されない労働者の能力や技術の差異までもコントロールすることができない。その結果、既存研究の枠組みでは観測不能な労働者の要因が同時に集積の経済の効果として推定されていたという問題がある。

RIETI - 第2回「なぜ大都市では賃金が高いのか」

極端な話ですが、都市部は誘蛾灯のように能力のある人間を集めるので、高い賃金を払っておけば有能な労働者が来るという話です。

給料だけが目的ではないかもしれませんが、国土交通省の統計によると、日本の人口移動は依然として都市部への転入超過の状態にあります。 

地方と都会の給料の違いの写真

国道交通省の統計

 2つ目は集積の経済によって都市部へ集中した企業から発生する様々なタスクが労働者を鍛える事が挙げられています。

当然鍛えられた労働者の生産性は向上し、同時に賃金の上昇を生んでいくわけですね。 

2.労働者の能力向上

2つ目は、大都市における労働からの学習効果(learning by working)の影響が大きいという点である。地方では経験できないような価値ある経験を大都市において積むことができ、その結果、大都市にいる労働者ほど賃金上昇率が高くなっているという仮説である。(中略)また、Gould (2007)の分析結果によると、ホワイトカラー労働者に関しては、地方へ移ったとしても都市で得られた経験によって高賃金を享受し続けていることが明らかにされている 

RIETI - 第2回「なぜ大都市では賃金が高いのか」

抜粋した最後に「ホワイトカラー労働者に関しては、地方へ移ったとしても都市で得られた経験によって高賃金を享受し続けていることが明らかにされている」という一文が印象的です。

 

冒頭の記事にもあるイケダハヤト氏も東京の大学出身、(企業名は明らかになっていないが恐らく)都内の企業に務めていたと思われます。

その意味でも、正鵠を得た分析ですね。

 

東京での消耗を避けて地方へ楽に移住する為には、一度東京で消耗しなければならないというのは皮肉な結果です。

 

1・2で見てきたように、少なくとも賃金面の格差においては『田舎が安い』のでは無く、集積の経済によって『都会が高くなっている』という理解が正しいようです。

いってしまえば田舎に非はありません。

地方と都会、どっちが得?

価値観は人それぞれですが、都市部での価値観をそのまま地方へ持ち込むことが不幸の始まりかもしれません。

シロクマ先生(id:shirokuma)の記事で「東京を知らない」ことの方が幸せな時もある、一文は印象的です。

大学生になってようやく、私は東京の、奇跡のような文物の集積に仰天した。学問も人材もサブカルチャーも東京に集中していること、多種多様な選択肢が埋もれていることを、私は思春期の後半にやっと知った。ただし、東京の多種多様な選択肢とは、札束で殴って勝ち取る類のものだということもすぐに判ったので、「東京に移住したいと思わずに済んだ

でも「東京を知らない」地方民は、東京の価値観や競争に巻き込まれずに済むんですよ? - シロクマの屑籠

人の考え方によりますが、選べない選択肢を最初から見せられるくらいなら選択肢など無い方がマシ、というのは少し残念に思えます。

 

分不相応なものに対して憧れを抱いたり、キラキラした生活に憧れるのは若さの特権といえます。

そういった経験も度を越えなければ、若いうちに1度くらい札束で頬を引っ叩かれたり引っ叩くのも一興かもしれません。 

地方と都会の格差を解説するイメージ写真

地方で楽に暮らすためには……

10代後半や20代前半の時を思い出すと「あの時なんであんな物かったんだろう」って物が結構ありますよね?

買ってしまった物は、どうしようもない

自分の中で経験値として積んでおくしかありません。

 

当時は必要だと思って買った物が、今考えると下らない物だったりすることは、よくあります。

ただ、個人的には無駄を積み重ねた末に、わかることもあると考えています。  

 まとめ

  • 賃金格差は田舎が安いのではなく、都会が高くなることによって生まれる
  • 都会は、人が集まる環境によって労働者が鍛えられ、その結果、賃金が高くなる
  • あえて、都会を知らずに生活するスタイルも幸せかもしれない

この記事をまとめると、以上の3点になります。

 

人が集まり、お互いに刺激し合う環境が生まれ、その結果、価値の高い物が生み出されるのは、自然な状態なのかもしれません。

 

地方と都会、そのどちらにもそれぞれのメリット・デメリットが存在します。 

自分が活動するフィールドを選ぶのであれば、しっかり比較検討した上で、選びたいですね。